VIC・Vingroupの構造を読み解く──ベトナム最大の複合コングロマリットの全体像

VIC(ティッカーシンボル:VIC)、正式名称ヴィングループ(Vingroup JSC)は、ベトナム最大の複合コングロマリット(企業集団)です。

不動産開発を中核としながら、自動車製造(VinFast)、リゾート(Vinpearl)、ヘルスケア(Vinmec)、教育(VinUni)など、ベトナム国民の生活を多角的に支える事業を展開しています。

時価総額・売上規模・従業員数のいずれにおいてもベトナム最大級の企業であり、HOSE上場、VN30構成銘柄、FTSE新興国市場昇格の対象銘柄の一つとして、国内外の投資家から最も注目される銘柄の一つです。

本記事では、Vingroupの企業構造を、設立経緯・事業セグメント・グループ構成・財務・強みと課題の各軸から整理してお届けします。

なお、本記事は事実報道です。特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、Vingroupの企業構造を客観的に解説するものです。

目次

1. Vingroupの設立経緯と発展史

創業の経緯

Vingroupの起源は、1993年にウクライナで創業された麺類製造業「Technocom」に遡ります。創業者のPham Nhat Vuong氏(ファム・ニャット・ヴオン)は、ベトナム国籍を持ちながら、当時はソ連崩壊後のウクライナで事業を展開していました。

2000年代初頭、Pham Nhat Vuong氏は事業の軸足をベトナムに移し、不動産開発に進出しました。2002年にはベトナム南部のニャチャンで「Vinpearl Resort & Spa Nha Trang」を開業し、これが現在のVingroupの原点となっています。

(出典:Vingroup公式・Forbes)

主要なマイルストーン

Vingroupの発展を時系列で整理すると、以下のようになります。

  • 2002年:Vinpearl Resort & Spa Nha Trang開業
  • 2007年:HOSE上場(ティッカー:VIC)
  • 2014年:Vinhomes、Vincomブランドの本格展開
  • 2017年:VinFast(自動車事業)設立、Vincom Retail(VRE)上場
  • 2018年:Vinhomes(VHM)上場
  • 2021年:WinCommerce事業をMasan Group(MSN)に主要部分譲渡、VinSmart事業終了
  • 2023年8月:VinFast Auto(VFS)NASDAQ上場
  • 2024年:Vinpearl(VPL)HOSE上場
  • 2025年:VinFast インドネシア・フィリピン進出

(出典:Vingroup公式・Reuters・Nikkei Asia)

創業者プロフィール

Pham Nhat Vuong氏は、1968年にハノイで生まれ、ロシア・モスクワの大学で地質学を専攻しました。1990年代にウクライナで事業を始め、2000年代に活動拠点をベトナムに移しています。

2013年、ベトナム人として初めてフォーブス誌の世界長者番付(ビリオネアリスト)に選出され、現在もベトナム最大級の富裕層の一人として知られています。

(出典:Forbes・Bloomberg)

企業理念

Vingroupは、「Mãi mãi tinh thần khởi nghiệp(永遠の起業家精神)」を企業理念として掲げ、ベトナム国民の生活水準向上への貢献を事業展開の軸としています。「Brand of Brands(ブランドの中のブランド)」戦略のもと、複数のVin-ブランドを展開し、生活関連事業を多角化してきました。

(出典:Vingroup公式)

2. 事業セグメントの全体像

Vingroupの事業は、大きく3つの柱と補完事業に整理できます。

第1の柱:不動産・住宅開発(中核事業)

不動産・住宅開発はVingroupの中核事業であり、グループ売上の最大の構成要素となっています。

Vinhomes(VHM)

  • ベトナム最大の住宅開発業者
  • HOSE上場(2018年)
  • VN30構成銘柄
  • 大型住宅団地(Royal City、Times City、Smart City、Ocean City、Grand Park等)

Vincom Retail(VRE)

  • ショッピングセンター運営
  • HOSE上場(2017年)
  • 全国80以上のVincomモール
  • VN30構成銘柄

Vinpearl(VPL)

  • リゾート・ホテル事業
  • ニャチャン、フーコック、ハロン湾等
  • 2024年にHOSE上場

第2の柱:自動車製造(成長事業・大規模投資)

VinFast Auto(VFS)

  • ベトナム発の電気自動車メーカー
  • 2017年設立
  • 2023年8月:NASDAQ上場(ティッカー:VFS)
  • ハイフォン工場(年産能力25万台規模)
  • 2025年通期:売上約90,428十億VND(約36億USD)、グローバル販売196,919台
  • 米国・カナダ・ASEAN展開、2025年にインドネシア・フィリピン進出

(出典:VinFast Q4 2025 NASDAQ報告・Reuters)

VinFastは現在のVingroupグループにおいて最大の戦略的賭けであり、創業者Pham Nhat Vuong氏個人による2024年11月の50兆VND(約20億USD)規模の資金支援コミットメントは、ベトナム企業史上でも異例の規模です。2025年6月末時点で、コミットされた金額は既に拠出されています。

(出典:The Investor 2025年8月・Vingroup Q2/2025連結財務諸表)

なお、VFSはNASDAQ上場であり、HOSEには上場していません。Vingroupの連結子会社であることから、その業績はVICの企業価値に大きく影響します。

第3の柱:小売・消費(再編済み)

かつてVingroupはWinCommerce(WinMart・WinMart+)を通じて小売事業を展開していましたが、2021年にMasan Group(MSN)に主要部分を譲渡しました。現在、Vingroupの直接的な小売事業展開は限定的となっています。

この再編は、Vingroupが「集中と選択」を進めた象徴的な動きとされています。同時期にスマートフォン事業「VinSmart」も終了し、リソースを不動産と自動車事業に集中する方針が明確になりました。

(出典:Reuters・Nikkei Asia)

補完事業

Vingroupは、上記の3つの柱に加えて、複数の補完事業を展開しています。

  • Vinmec(ヘルスケア):国際標準病院ネットワーク
  • VinUni(高等教育):2020年開学の私立大学
  • VinAI(AI研究):自動運転・画像認識等のR&D
  • VinCSS(サイバーセキュリティ):パスワードレス認証技術
  • Vinbus(電気バス):VinFast EVバス事業

事業ポートフォリオの戦略的特徴

Vingroupの事業ポートフォリオは、以下のような戦略的特徴を持っています。

  • 不動産事業で安定的なキャッシュフローを創出
  • 自動車事業に大規模な成長投資(高リスク・高リターン構造)
  • 小売事業はMasanへ譲渡し、事業集中度を高めた
  • 教育・医療等の補完事業はベトナム国民の生活水準向上への貢献を強調

(出典:Vingroup統合報告書・各社IR)

3. グループ構成と上場子会社

Vingroupは、複数の上場子会社を持つ持株会社的な構造になっています。

HOSE上場の主要グループ企業

銘柄 企業名 事業 上場年
VIC Vingroup 持株会社・複合 2007年
VHM Vinhomes 住宅開発 2018年
VRE Vincom Retail 商業施設 2017年
VPL Vinpearl リゾート・ホテル 2024年

NASDAQ上場

銘柄 企業名 事業 上場年
VFS VinFast Auto 電気自動車 2023年

Vingroup(VIC)のポジション

VIC(Vingroup)は、グループ全体の持株会社的な性格を持っており、不動産・自動車・リゾート等の事業を統括する立場にあります。Pham Nhat Vuong氏が大株主として議決権の相当部分を保有しているとされています。

(出典:Vingroup統合報告書・HOSE開示)

投資家視点での留意点

Vingroupグループの構造を理解する上で、重要な点があります。

  • VIC(Vingroup)への投資 = グループ全体への投資
  • VHM(Vinhomes)への投資 = 住宅開発事業に集中
  • VRE(Vincom Retail)への投資 = 商業施設事業に集中
  • VPL(Vinpearl)への投資 = リゾート事業に集中

各銘柄の性格は異なり、単純に「Vingroup関連株」として一括りにできるものではありません。それぞれの銘柄が反映する事業内容・リスク特性が異なります。

4. 財務データの全体像

2025年上半期の業績

Vingroupの2025年上半期(1-6月)の連結業績は以下の通りです。

  • 連結純売上高:130.37兆VND(約49.8億USD・前年同期比2倍超)
  • 連結純利益:4,509十億VND(約1.72億USD・前年同期比+120%)

(出典:Vingroup Q2/2025連結財務諸表・The Investor 2025年8月)

2025年通期セグメント別売上構成

2025年通期の連結売上のセグメント別構成は以下の通りでした。

  • 不動産事業:102兆VND超(最大セグメント)
  • 製造業(VinFast):40.871兆VND(前年比約2倍)
  • その他事業:残余

製造業セグメントのうち、21.5兆VNDはXanh SM(電気タクシー)、Green Future(電気バス)等、Pham Nhat Vuong氏個人のエコシステム内企業との取引であった点が、財務分析上の論点として一部メディアで指摘されています。

(出典:The Vietnamese Magazine・Vingroup年次報告書)

VinFastの財務状況(2025年通期)

VinFast単独の2025年通期業績は以下の通りです。

  • 売上:90,428十億VND(約36億USD・+105.4%)
  • グローバル販売:196,919台(+102%)
  • 利用可能流動性:78,299十億VND(約31億USD)

(出典:VinFast Q4 2025 NASDAQ報告)

VinFastの利用可能流動性のうち、22兆VND(約8.7億USD)はPham Nhat Vuong氏からの未拠出資金支援コミットメントから構成されています。これは創業者個人による異例の財務支援構造を示しています。

財務上の特徴と注意点

Vingroupの財務構造には、以下のような特徴があります。

特徴1:不動産事業の収益が中核──Vinhomes(VHM)が連結売上・利益の中核であり、大型住宅団地の販売タイミングで売上が変動する構造です。

特徴2:VinFastの大規模投資──自動車事業は大規模な成長投資フェーズにあり、創業者個人による財務支援を含む独特の資金調達構造を持ちます。

特徴3:大規模有利子負債──グループ連結ベースで大規模な有利子負債を抱えており、金利環境の影響を受けやすい構造です。

特徴4:外国人保有比率──VIC自体の外国人保有比率は中位ですが、子会社のVHMはFOL(外国人保有上限)が満杯に近い銘柄として知られます。

財務データの解釈の注意

財務データは過去・現在の事実であり、将来の業績や株価動向を保証するものではありません。

特にVinFastの大規模成長投資は、新興企業の特徴的な資金構造であり、将来の収益性は経営環境・市場展開・競争状況等に依存します。財務データを根拠とした断定的な将来予測は、本記事では行いません。

5. Vingroupの構造的強み

Vingroupが現在持つ構造的な強みを、3点に整理します。

強み1:ベトナム不動産市場での圧倒的シェア

「Vinhomes」ブランドの大型住宅団地は、ベトナム不動産市場で確立された地位を持っています。大都市・地方都市の両方での展開、政府関係の構築、大型開発許可の獲得能力等、不動産市場における構造的な優位性を保有しています。ベトナムの都市化進展(2024年都市化率約40%、政府目標2030年45%)への構造的な順応性も、長期的な事業基盤として機能しています。

強み2:消費者ブランドの認知度

「Vin-」ブランドファミリー(Vinhomes、Vincom、Vinpearl、Vinmec、VinUni等)は、ベトナム国民の生活に深く浸透しており、強い認知度を持っています。住宅・小売・ヘルスケア・教育・リゾート等、生活関連事業に幅広く展開していることで、ブランド・ロイヤルティを構築しています。

強み3:創業者の長期コミット

Pham Nhat Vuong氏の長期視点と意思決定力は、Vingroupの戦略的特徴の一つです。VinFastへの個人資金支援(50兆VND・約20億USD)は、創業者個人によるコミットメントの規模としても異例です。一方で、これは後述する「創業者依存リスク」の側面も持っています。

強みも「保証」ではない

これらの構造的強みは、Vingroupが現在持つ事実です。ただし、「強み = 将来の株価上昇の保証」ではありません。強みは「土台」であり、市場の動きは別個の要因(業績・需給・為替・政策・地政学・企業固有リスク等)で決まります。

6. Vingroupの構造的課題とリスク

楽観論だけを述べる記事は、知的にも誠実ではありません。プロのメディアの責務として、Vingroupの構造的課題・リスクを誠実に整理しておきます。

課題1:VinFastの黒字化問題

VinFastは依然として営業損失を計上している段階にあります。米国市場での販売動向、中国EVメーカーとの競争激化、欧州・ASEAN市場での展開コスト等、複数の課題が存在し、黒字化時期の見通しは経営課題となっています。

(出典:VinFast SEC Form 20-F・Reuters)

課題2:VinFast米国訴訟・SEC関連事象

VinFastは、NASDAQ上場後に複数の法的・規制上の事象を経験しています。

  • 2023年8月:NASDAQ上場・上場時時価総額230億USD超
  • 2023年10月頃:上場後数週間で株価が大幅下落
  • 2024年5月:米国で株主による集団訴訟提起
  • 2024年7月:SECからの指摘により、売上3,390万USDを過大計上していたことを認める修正対応
  • 2025年8月時点:時価総額83.5億USDに縮小

(出典:Reuters・Asia Times)

これらの法的・規制上の事象は、Vingroup全体の評価に影響を与えうるリスク要因として、誠実に認識する必要があります。

課題3:不動産市場の循環性

ベトナム不動産市場は、過去にも大きな循環を経験してきました(2022-2023年の調整局面が直近事例)。法的規制の強化(2023年Land Law改正、2024年関連法令施行)、金利環境の影響等、構造的な変動要因を持つ市場です。

(出典:World Bank Vietnam Macro Reports)

課題4:複合コングロマリット・ディスカウント

多角化された企業集団は、各事業の独立的評価が困難であることから、市場で「コングロマリット・ディスカウント」(各事業の合計価値より持株会社の時価総額が割引される現象)が生じる傾向があります。Vingroupも、このディスカウントの影響を受けうる構造にあります。

(出典:McKinsey “Conglomerate discount”研究)

課題5:大規模有利子負債

Vingroup連結ベースで大規模な有利子負債を抱えており、金利環境の変化、リファイナンス・リスク、信用格付けの変動等の影響を受けやすい構造です。

(出典:Vingroup統合報告書・S&P・Moody’s格付けレポート)

課題6:創業者依存

Vingroupの戦略的意思決定は、Pham Nhat Vuong氏の判断に大きく依存する構造になっています。VinFastへの個人資金支援は、創業者個人のコミットメントの強さを示す一方、長期的な経営承継、ガバナンス構造の透明性等の課題も内包しています。

課題7:関連当事者取引の複雑性

Pham Nhat Vuong氏個人のエコシステム内企業(Xanh SM、Green Future等)とVinFastとの取引は、グループ売上の一部を構成しています。これらの関連当事者取引は、財務分析上の論点として一部メディアで指摘されており、ガバナンス上の留意点となっています。

(出典:The Vietnamese Magazine)

課題8:ESGリスク

大規模開発の環境影響、労働環境、ガバナンスの透明性等、ESG(環境・社会・ガバナンス)関連のリスクも構造的な課題として存在します。海外機関投資家のESG評価は、長期的な株主構成にも影響を与えうる要因です。

(出典:MSCI ESG Research・各種ESG評価機関)

7. 日本人投資家の構造理解・5つのポイント

ポイント1:VICとVHMは別物

VIC(Vingroup)とVHM(Vinhomes)は、しばしば混同されがちですが、別の銘柄です。

  • VIC = Vingroup全体(複合・持株会社的性格)
  • VHM = Vinhomes(住宅開発事業に集中)

各銘柄が反映する事業内容・リスク特性が異なり、投資判断は別個に行う必要があります。

ポイント2:連結業績と個別業績の区別

VICの連結業績はグループ全体を反映し、VinFastの損失はVIC連結業績に影響します。VHMの利益はVIC連結に貢献しますが、VHM単体への投資ではVHMの業績のみを反映します。連結業績と個別業績の区別は、投資判断において重要な構造的理解となります。

ポイント3:FOL(外国人保有上限)の影響

VHMはFOL(外国人保有上限)が満杯に近い銘柄として知られます。新規の外国人投資家による直接購入が困難な期間があり、ETF・投資信託経由の投資選択肢を検討するケースもあります。VICのFOL状況はVHMほど逼迫していませんが、保有上限の状況は時期により変動します。

(投資方法の詳細は、別記事「日本からのベトナム株投資──直接投資・ETF・投資信託の3つの方法と実務の整理」をご参照ください。)

ポイント4:FTSE新興国昇格との関係

2026年9月21日に発効するFTSE新興国市場昇格で、VIC・VHM等は対象銘柄として注目されています。ただし、「FTSE組入れ = 株価上昇」ではありません。パッシブ追跡資金の流入は短期的な要因であり、企業の構造的価値とは別個の動きです。

(FTSE昇格の詳細は、別記事「ベトナム株式市場、FTSE新興国市場昇格が確定」をご参照ください。)

ポイント5:★最重要──構造理解と投資判断は別個

本記事の中で、最も強調しておきたいのが、この第5ポイントです。

本記事はVingroupの企業構造を客観的に解説したものです。構造的特徴の理解は、投資推奨ではありません。

VICへの投資判断は、以下を総合的に検討する別個のプロセスとなります。

  • 投資家ご自身の投資方針・リスク許容度
  • ポートフォリオ全体の構成
  • VND/JPYの為替リスク
  • VinFastの将来見通しと米国訴訟リスク
  • 不動産市場の動向
  • 有利子負債と金利環境
  • 創業者依存リスク
  • ESGリスク
  • 各種地政学的リスク

「企業構造の理解」と「投資判断」は明確に区別してください。本記事は前者を提供することを目的としており、後者を推奨するものではありません。

8. 編集員リンの観察

私は、ハノイで生まれ育つ過程で、Vingroupの存在を肌で感じてきました。

幼少期、Times Cityがハノイ郊外に建設されていく様子。中学・高校時代、街にVincomモールが増えていく様子。大学時代、VinFastの最初の車両がハノイの街を走り始めた光景──こうした日常の風景が、Vingroupという企業集団の成長そのものでした。

証券会社で働いていた頃、お客様から「VICは買いですか?」というご相談をよく受けました。その時、私はいつも「私には判断できません。ただ、Vingroupという企業の構造はお伝えできます」とお答えしていました。

企業の構造を理解することと、投資判断を下すことは、別々のプロセスだと、── 私はそう思います。

Vingroupは、ベトナムの過去30年の経済成長を象徴する企業の一つです。同時に、VinFastの黒字化課題、米国訴訟、創業者依存、複合企業の評価難度等、構造的な課題も抱えています。輝く側面と、難しい側面の両方が、この企業の現実です。

その全体像を、ハノイで生まれ育った一人として、皆様にお届けしたいと考えています。光と影の両方を見ることが、ベトナム経済を理解する上で大切だと、いつも感じています。

── リン

9. まとめ

本記事では、ベトナム最大の複合コングロマリット、VIC・Vingroupの企業構造を整理してきました。

ポイントを整理すると、以下の通りです。

  • VIC・Vingroupはベトナム最大の複合コングロマリット(2007年HOSE上場)
  • 1993年にウクライナでTechnocomから始まり、2002年からベトナム展開
  • 主要事業:不動産(中核)、自動車(成長投資)、リゾート、その他補完事業
  • 上場子会社:VHM、VRE、VPL(HOSE)、VFS(NASDAQ)
  • 2025年上半期:連結売上130.37兆VND、純利益4,509十億VND(前年同期比+120%)
  • 構造的強み:不動産シェア、ブランド、創業者コミット
  • 構造的課題:VinFast黒字化、米国訴訟、有利子負債、創業者依存、ESG等
  • VICとVHMは別物・構造理解 ≠ 投資推奨

そして、最も重要な認識として、企業構造の理解と投資判断は別個のプロセスであり、構造的特徴の存在は将来の株価動向を保証するものではありません。

VinFastの大規模投資、米国での法的事象、不動産市場の循環性、有利子負債、創業者依存等、誠実に認識すべきリスク要因も多く存在します。投資判断は、これらのリスク要因を含めた総合的な検討が必要となります。

次回は、Vingroup傘下の住宅開発事業VHM・Vinhomesの構造を、より詳しく解説する予定です。


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※本記事は、VIC・Vingroup(Vingroup JSC)の企業構造に関する情報提供を目的とした事実報道です。

特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、投資助言業として行われるものでもありません。

本文中の財務データ・企業情報は、Vingroup公式IR、HOSE開示、VinFast SEC Form 20-F、Reuters、各種公的データに基づいています。最新値は、各情報源の公式情報をご確認ください。

本記事で解説する企業構造は、執筆時点でのVingroupの構造に関する観察であり、将来の業績や株価動向を予測または保証するものではありません。企業構造の理解と投資判断は別個のプロセスであり、構造的特徴の存在が株価上昇を保証するものではありません。

Vingroupの事業は、不動産市場の循環性、自動車事業の成長投資フェーズ、米国における法的事象、大規模有利子負債、創業者依存、ESGリスク等、複数の構造的課題を含みます。投資判断にあたっては、これらのリスクを総合的にご検討ください。

本記事の内容は、過去・現在の企業データの観察であり、将来の動向を予測または保証するものではありません。情報の正確性には万全を期していますが、その内容を保証するものではありません。

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──ベトナム資産形成研究所・編集部
(執筆:リン)
2026年5月19日

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